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シャビールック

シャビールック:Shabby look

シャビールック(Shabby look)とは、マルタン・マルジェラが80年代の終わりに打ち出した「みすぼらしい」「貧困者風」のファッションのことをいいます。高級志向の1980年代のアンチテーゼとして誕生したスタイルで、裾がほつれていたり、色あせていたりとボロルックのようなスタイルがシャビールックと呼ばれるようになりました。

シャビールックが誕生した背景

マルタン・マルジェラがシャビールックを打ち出す前の1980年代前半には、コム・デ・ギャルソンとヨウジ・ヤマモトがパリコレクションで発表したコレクションがファッション業界に大きな衝撃を与えていました。それまでピンクやブルーなど華やかな色の洋服がエレガントとされていましたが、コム・デ・ギャルソンとヨウジ・ヤマモトが発表したのは全身真っ黒で、ところどころに穴が開いているような洋服でした。しかも、女性服なのか男性服なのかわからないような野暮ったいシルエットで、ファッションジャーナリストの間で賛否両論が巻き起こったのです。マルジェラは、コム・デ・ギャルソンとヨウジ・ヤマモトが打ち出した新しいスタイルに影響を受けて、古着を素材に衣服を再構築したシャビールックを発表しました。このころマルジェラはまだデビューしたばかりでしたが、ファッション業界の既成概念を次々と崩していくようになります。

90年代のグランジファッションへ

マルタン・マルジェラが打ち出したシャビールックは、ファッション業界で話題になったのはもちろん、あっという間にストリートの間でも流行していきます。1990年代前半になると、ニルヴァーナをはじめ、へヴィメタルやハードコアなどグランジロックと呼ばれる音楽が世界的に人気を博すようになります。このときニルヴァーナのボーカルを務めていたカート・コバーンが着ていたボロボロのネルシャツや穴の開いたジーンズ、履き古したスニーカーなどがグランジファッションと呼ばれ、若い人たちのあいだで大流行しました。マルジェラが打ち出したシャビールックが先駆けとなり、グランジファッションが世界的に受け入れられ、その後1990年代のストリートファッションの新しい流れを作りだしていったというわけです。

最後に

シャビールックが誕生する前の1980年代前半は、世界的に景気がよかったこともあり、人々は次々と高価で華美な洋服を買っては、たいして着てもいない洋服を捨てていきました。そんな消費社会へのアンチテーゼとしてマルジェラが発表したシャビールックは、グランジファッションへの影響はもちろん、その後に大活躍するエディ・スリマンやクリストフ・デカルナンといったデザイナーへも大きな影響を与えます。

ストリートファッションではもちろん、ハイファッションの中でもシャビールックやグランジファッションは一つのジャンルとして確立していて、いまだにその影響を受けているデザイナーは少なくありません。カート・コバーンがいつも着ていたチェックのネルシャツにポップなプリントTシャツ、ダメージデニム、コンバースのジャックパーセルというスタイルは、グランジファッションが好きな人だけでなく若者が好むファッションとして現在まで受け継がれています。

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